日本近視学会総会に参加
2024/5/18-5/19、日本近視学会に参加してきました。
今回が第6回と新しい学会で、わたし自身も初参加でどんな学会かと少し楽しみにしていました。
眼科の中で、かつては近視は病気ではない、メガネやコンタクトをつけて、適切に屈折矯正すればよい、という考えが主流でした。
小児の近視人口の増加、それに伴い成人後の病的近視(近視が原因で視神経や網膜の障害が起きて視力や視野が悪くなる状態)の増加が危惧されるということで、現在とても注目が集まっている領域です。
個人的にも日々、近視が原因で網膜や視神経が萎縮している患者さんをよく診察します。
萎縮、というのは今の医療では改善させる手立てがほとんどありません。
そうならないように予防できたら、と思うわけです。
学会でも紹介されていた、近視の計算機をご紹介します。
https://bhvi.org/myopia-calculator-resources/
非常に多くの人口ベースの研究をもとに集計したもので信頼感があります。
Web上のサービスですが、無料です。メールアドレスを入力し、メールに送られてきたコードをコピーして入力すると使用できます。
デフォルトは英語ですが、右上の言語選択ボタンがあり、日本語で使用できます。
現在の近視度数と年齢、人種(アジア人等)、を選択するとグラフがでてきます。
ちなみに近視の度数、(ジオプター、D)と言います。0.1です、とか言っているのは視力で、度数は視力とは違います。
矯正視力が一番良くでるためのメガネの度数という意味で、屈折力とも言いますが、メガネの厚さ、みたいなことです。
この度数などを入力するとグラフがでてきます。
例えば8歳で-1.0Dという度数なら、17歳になった時に-3.0から-7.5Dの近視になる見込みで、平均すると-5.5Dくらいの近視になるでしょう、という予想を立てられる、というものです。
8歳時、-1.0Dだと裸眼視力では0.3くらい、学校の検診ではCくらいのイメージです。
17歳、-5.5Dだと裸眼視力ではおそらく0.1を下回ります。
これに予防介入すると、どうなるか、例えば低濃度アトロピンを使用するとどうか、オルソケラトロジーを使用するとどうか、など過去の主要論文のデータを集計されある程度の範囲をもって予想を出してくれます。
論文の中の近視抑制率には幅があるのでそれを左右にずらしていくとグラフがそれに合わせて変わっていきます。
非常に使いやすく、興味深いデータで、自分の子供のデータを調べました。
簡単なので、関心のある方はぜひお試し下さい。