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2023年臨床眼科学会

[2023.11.11]

先月10/6(木)-10/9(日)に、東京国際フォーラムで臨床眼科学会が開催されました。
職員と一緒に参加してきました。
日本中の眼科医が集まる眼科のいちばん大きな学会です。
今回は10万人以上参加していたとのことで、過去でもっとも多いくらいの参加者だったそうです。3日間、眼科の発表を聞いたり、あたらしい器具を試しに使わせてもらったり、刺激を受けてきました。
当院のスタッフも同行しましたが、日常の業務の意味を深く考える機会になったようで、良い体験になったようでした。
コロナも5類になり、まだまだ注意はしているものの、専門職の交流も日本全体の医療レベルの維持向上には必要なもので、こういった学会もまた再興してきています。
この学会で私が、これは!と思ったトピックを2つ紹介します。
①こどもの近視抑制
こどもの近視抑制は社会課題と言って良い問題です。
こどもの近視は増加しており、その度数もきつくなってきています。
私自身も外来でメガネ処方をしますが、度数がどんどん強くなってしまうケースが多々あります。
こどもの頃、若いうちはメガネやコンタクトをかければ良い、という考えもありますが、強度近視になると中年以降に緑内障や黄斑変性などメガネ等では視力が維持できない病気のリスクになります。
コロナ禍、デジタルデバイスの普及によって近くばかり見る生活によりこの問題は年々大きな社会問題になってきています。
これに対し、近年低濃度アトロピン(マイオピン)、オルソケラトロジーによる近視抑制効果が注目されておりました。
さらに最近では第3の矢、レッドライト治療が発表され、本学会でも大きな注目を集めていました。
赤い光を専用のデバイスを使って一日2回、1回5分、週5回、見ることで近視進行が大きく抑制されるという中国での衝撃の報告を日本でも治験が行われ、どうやら確からしいことが報告されておりました。
これは大きな衝撃で、眼科の常識が覆される出来事と思いますが、まだ一般的に使用するにはコスト面など超えるべきハードルがあります。
また、やらない方が良い網膜の疾患などもありますので間違っても赤い光を自己流で見たりして眼を痛める子供さんが出てこないように慎重に広めていく必要があると思います。
②網膜色素変性の遺伝子治療
網膜色素変性の遺伝子治療の薬剤が市場に出たということが大きなニュースでした。
特定の遺伝子異常をもつ網膜色素変性の方のみ適応になるということで、かなり限られた方が適応になるというものですが、これまでとは全く違う展開で、今後が期待されます。
遺伝子検査をどのように取り組むかなど、課題も多いですが大きな一歩であることは間違いないと思いました。

私は、最終日の前日の夕方のイブニングセミナーというセッションで白内障手術、緑内障手術についてのちょっと注意すべきポイントに関する講演を行いました。
去年もまったく同じ舞台、同じセッションで発表しましたが今回はより参加者が多く感じました。運営のスタッフから後で聞いたところ本学会でもっとも聴衆の多いセッションで、過去最多であった、とのことでした。

最終日、スマホを使って診断クイズのようなセッションに参加してみたのですが、なんか今日はよく当たるな、と思っていたら、優勝していました。


主催者から壇上で賞品として眼科の本を頂きました。

これはもっと勉強せい、ということですね。

外来をお休みして、患者様にはご迷惑をお掛けしましたが、最新の知見を持ち帰ることができましたので、日頃の診療のレベルアップにつながるかな、と思っています。

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