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著作紹介⑥緑内障手術ーあたらしい眼科2023年9月号

[2023.09.19]

あたらしい眼科、という日本国内の眼科で最も読まれている専門誌の2023年9月号、セミナーというコーナーに執筆しました。

あたらしい眼科 2023年9月号

トラベクロトミーの手術後早期に起きる一過性の近視化について、です。

今回の話は専門誌での内容なので少しややこしいと思われますので、ちょっとしんどいようであれば今回の記事は飛ばしてください。

トラベクロトミーという手術は当ホームページの緑内障のページにも詳しく記載しています。
トラベクロトミーとは線維柱帯という目の中の房水という水が出ていくところのメッシュ構造を切り開き、水が出ていく量を増やすことで眼圧を下げる緑内障手術です。
もともと出ていく水の流れを再建する、ということで流出路再建術の一種です。
緑内障手術には、もともとの水の流れとは違うところに水を逃がす手術はろ過手術という手術もあります。
ややこしいですが、下記のようにざっくり緑内障手術はまとめられます。


・緑内障手術=房水の排出を増やす手術+房水の産生を減らす手術

・房水の産生を減らす手術=毛様体凝固術(レーザー、冷凍凝固)

・房水の排出を増やす手術=手術流出路再建術+ろ過手術

・流出路再建術=トラベクロトミー+iStent手術+その他

・ろ過手術=トラベクレクトミー+チューブインプラント手術+その他

表にした方がわかりやすいかもしれません。

少し脱線しました。

今回はこのトラベクロトミーのはなしです。

トラベクロトミーは以前は外側の白目の方から結膜と強膜を切開し、中の線維柱帯を切るという方法(眼外法)しかありませんでした。
ところが島根大学の谷戸教授らが眼内からマイクロフックという極小のフックを用いて白内障手術のように黒目の方からアプローチする方法(眼内法)を開発し、世界中で爆発的に普及してきています。
黒目の方からアプローチすると、白内障手術のついでのような形で手術が可能で、手術後すぐから良好な視力が得られることが増えました。
以前の緑内障手術は、術後しばらく入院するのが当然でしたし、しばらくの間見えにくくなることが当たり前でしたので術後すぐの視力や度数はあまり問われることがありませんでした。
この新しい眼内法の術式は日帰り手術でも十分施行可能で術後早期の視力が結構良いことが多くなりました。

当院では手術翌日、白内障手術と同様に度数を測り、視力を測ります。
すると術後早期に少し予定よりも近視になっており、一週間程度で予定度数に戻る、という現象が観察されました。
前眼部OCTという機械を用いて観察したところ、その原因は術後早期に起こる一過性の毛様体剥離が原因と考えられました。
これまでトラベクロトミー後の毛様体剥離という現象自体は報告がありましたが、術後の度数ズレ、視力という観点では知られていなかったため、先日ある研究会で発表したところ、反響がありました。

大学病院や大きな施設での緑内障手術では手術翌日の視力、度数を計測せず、一週間後の外来受診まで計測しないことが多いため、認識されにくい現象であると思います。
緑内障手術が低侵襲化し、クリニックでの日帰り手術が可能になった結果分かったこととして、意義のある仕事かなと思います。

この現象を周知していくことを目的に執筆依頼があり、今回執筆しました。

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