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緑内障(視神経乳頭陥凹拡大)

緑内障とは、視神経が一般よりも早く傷んでしまうことで、視野が狭くなる病気です。

視神経というのは眼球と脳をつなぐ神経です。

眼球がこうありますと、

後ろはこのようになっていて、このうしろに出ている部分です。

視神経が痛むと、視神経の目の方の出口である視神経乳頭のへこみ(陥凹)が大きくなります。

視神経乳頭陥凹は、眼底側の写真で示した場所です。

視神経乳頭陥凹拡大、と人間ドックや検診で言われることがありますが、これは、緑内障の疑いということとほぼ同じです。

検診等で、眼底検査、眼底写真、という検査をします。

それは瞳孔から覗き込んで、眼底の様子を写真で撮ったり、観察したりして、病気がないか、診るということです。

これらの検査で視神経乳頭陥凹拡大と言われたら、本当に緑内障かどうか、眼科でさらに詳しく、この視神経の層を断面図でみる検査(OCT)や、視野検査をして、実際の視野を測定します。

病気が進行すると視野が狭くなっていきますが、自覚症状が現れにくい病気でもあり、気づいた時には、もうかなり進行しているということもあります。

早期に診断を受けることが重要な病気です。

病状が進行するかどうかには眼圧が重要と考えられています。

眼圧とはタイヤの空気圧のようなもので眼球の硬さです。

もともと10-21mmHgが正常範囲とされていましたが、日本人の緑内障の7割がり正常範囲の眼圧なのに緑内障である(正常眼圧緑内障)ということが明らかになりました。

患者さんごとにちょうど良い眼圧は異なります。

眼圧が23mmHgとやや高くてもまったく問題がない方もおられます。

眼圧18mmHgと正常範囲でも、この数値で病状が進行するなるならばもっと眼圧を下げる必要があります。

治療について

緑内障の治療は、眼圧を下げることを基本にしています。

点眼薬での治療やレーザーによる手術、外科的な手術があります。

まずは、検査をして、治療方針を検討して治療方法を決めます。

一度失った視野を取り戻すことができない病気ですので、40歳を超えたら、定期的に眼圧検査・眼底検査・視野検査などの検査することをお勧めします。

当院では静的視野検査、動的視野検査の2種類の視野検査が可能です。

また最先端のOCTという機器を用いて視神経の層の厚さを計測し、緑内障の程度を正確に把握することが可能です。

点眼

治療は点眼が基本です。

点眼薬も非常に多くの種類があり、当院は院内処方ですので会計時にお渡しします。

効果が十分か、副作用は起きていないか、次の診察時にチェックします。

点眼が続けにくい場合や副作用がある場合はレーザー治療や手術を行います。

レーザー治療

SLTレーザー

SLTレーザーは、線維柱帯にレーザーを当てて、房水の流れを改善し、眼圧を下降させる方法です。

SLTレーザーを早期に施行することで、点眼に劣らない成績が報告されております。

手術のように一時的に見えにくくなることもありませんし、痛みもありません。

術後の行動の制限もありません。

点眼ではうまくいかない、手術は抵抗あるというような方にも選択肢になりえます。

 

MIGS(低侵襲緑内障手術)

近年、眼への負担がとても少ないMIGS(minimum invasive glaucoma surgery)という手術が普及してきており、当院でも行なっております。

手術により眼圧が下降すると、緑内障点眼薬を減らしたり、中止できる可能性があります。

点眼薬へのアレルギーがある場合、多忙で点眼するのを忘れがちな場合、点眼薬が経済的に負担になっている場合など、手術も選択肢になります。

目の中は房水という水が絶えず循環しています。

房水は毛様体という所で作られ、線維柱帯というところで吸収されています。

房水の作られる量と吸収される量のバランスで眼圧が決まります。

線維柱帯切開術

線維柱帯という房水が吸収される場所はお風呂の排水溝のようにメッシュ構造になっています。

このメッシュの部分が詰まりがちになると眼圧が上がってしまいます。

手術でこのメッシュの部分を切り開くことで眼圧が下がる効果が期待できます。

白内障手術と同時に行うことができます。5-10分程度の手術で局所麻酔、日帰りでの手術が可能です。

ただし、切り開くことである程度出血が起きますので、数日間むしろ霞んで見づらくなります。出血は自然に吸収され見えるようになり、眼圧が下がります。

iStent(アイステント)挿入術

線維柱帯にiStentというごく微細な筒状の器具を挿入します。筒の中を房水が通り、眼圧が下がる効果が期待できます。切り開く、前述の線維柱帯切開術よりも出血が少ないメリットがあります。

白内障の手術プラス5-10分程度の手術で局所麻酔、日帰りでの手術が可能です。

iStentはこのようにとても微細な構造物です。

このiStentを線維柱帯に埋め込みます。

iStent inject W(アイステントW)挿入術

iStentの進化版として鋲型のステントを2つ埋め込むタイプが開発されました。ステントを2つ埋め込むことでより高い眼圧下降効果が期待されます。

これらの低侵襲な緑内障手術(MIGS)は眼への負担、デメリットが少ない反面、手術の効果にも限界があります。

緑内障手術にはMIGS以外に、線維柱帯切除術やインプラント手術など効果が大きく、やや大規模な手術があります。

必要な場合は連携先病院(松江日赤病院や島根大学病院)に適切にご紹介します。

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