網膜前膜
網膜前膜は網膜の前に一枚膜が張る病気です。
網膜上膜、黄斑前膜、黄斑上膜と呼ぶこともありますが、どれも同じものです。
網膜はカメラのフィルムの役割をしています。
網膜の前に膜が張ると網膜そのものも歪んでしまうので、物が歪んで見える、視界がぼやける、左右でものの大きさが違って見える、などの症状を生じます。
症状は加齢に伴って増加します。
院長が報告した2005年から2019年の健診データを用いた研究では、全年齢で2.4%ですが、65歳以上では13.3%の方が網膜前膜を有していることが明らかになりました。
H.Shimizu et al, Life (Basel)2021 (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33513873/)
治療について
治療法は硝子体手術です。
手術により網膜の上に張った膜を除去します。
膜を除去することでゆっくりと網膜が正常な形に近づいていき、見え方もゆっくりと改善することが多いです。
膜が張っていても必ず手術をしなければならないという訳ではなく、膜がひどくならないか経過をみる場合もあります。
特に緑内障を合併している方は膜をとるべきか、より慎重に考える必要があります。
著作紹介③緑内障と網膜前膜
一方で膜が強く張った状態で長期間経ってしまうと、手術で膜を除去してもあまり良くならない場合もあり、適切な時期での手術をお勧めします。
見え方に異常がある場合は一度ご相談下さい。