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著作紹介⑤ー眼科薬剤処方

[2022.12.22]

島根大学の眼科、谷戸教授編集の新刊が出版されました。
すぐ見て・すぐわかり・すぐ使える眼科薬剤処方、という眼科で使われる薬剤の本です。
眼科医や眼科で働くスタッフ向けの本です。
県内の一般の本屋さんで見かけることはまずないと思います。
都市部の大型書店や眼科の学会場などでしか置いておりませんが、インターネットを使えばアマゾンや楽天では購入可能です。
今回私は局所麻酔薬について解説しました。
局所麻酔というのは、目薬や注射などで効かせたい部分にだけ効かせる麻酔方法です。
眼科の手術では主にキシロカインという薬を点眼や眼の奥に注射薬として使用します。

全身麻酔は文字通り全身に作用するので、意識を失った状態になります。
眼科の手術は怖いから眠ったまま終わる方が良いから全身麻酔にしてほしい、と言われることがあります。
確かに気持ちはわかります。
眠ってる間に終わったらどんなに良いことか。
しかし、全身麻酔はきちんと呼吸を維持するために人工呼吸器を使用する必要があります。
全身の状態を見極めて麻酔薬を調整したり、血圧や呼吸をしっかり管理する麻酔科医という専門家の元でやるべきです。
それでも全身麻酔薬は多少なりとも体に負担がかかります。
一方、局所麻酔は手術中も意識ははっきりありますので、会話をすることができます。
体への負担もありません。
局所麻酔がしっかり効いていれば痛みはないはずなので如何にしっかり効かせるかということが重要です。
我々医師は、適切な種類の局所麻酔薬を適切な方法で必要な場所にお届けできるか、ということを意識しています。
麻酔を効かせた上でも、なるべく組織への負荷が少なくてすむ方法、機器の設定でそっと行うということもまた大切です。

局所麻酔では痛みは対処可能ですが、恐怖感や精神的な緊張には対処できませんでした。
怖いと感じていると、通常痛いと感じないようなちょっと刺激ですが痛く感じることがあります。
最近当院では低濃度笑気麻酔という方法で恐怖感を和らげるという方法をご希望の患者さんには採用しています。
鼻から薄い笑気ガスというガスを吸うことでリラックスした気持ちになりやすくします。
局所麻酔と組み合わせることでより一層痛くない、怖くない手術になってきている印象です。
今回の原稿ではそんな眼科手術にとって最も重要とも言える局所麻酔について、現在分かっていることに加え、自身のこれまでの経験も踏まえ、熱く解説しました。

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