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著作紹介②眼科手術トレーニングー網膜硝子体手術

[2022.04.23]

著作紹介シリーズ第二弾です。

2021年発行の’’眼科手術’’という雑誌の’’眼科手術トレーニング’’という特集の網膜硝子体手術の項を執筆しました。

 

またもマニアックな話ですが、眼科の手術の話です。

 

網膜硝子体手術というのは眼球の奥の網膜のあたりを操作する手術です。        

網膜剥離や網膜前膜、糖尿病網膜症などの病気でこの手術が必要になります。

眼科の手術で最も一般的な白内障手術と比べると、網膜面ではより細かい操作を必要とする手術であり、一方で、眼球全体を操作するダイナミックさもある手術です。

 

昔、といっても20年くらい前までは、なかなかリスクの高い手術でした。

そのため、ごくごく限られた術者のみが行う手術でした。

近年は道具、器械の目覚ましい進歩により、また数々の先人の知見が蓄積されたことにより、安全性や術後の成績がかなり改善しました。

 

その結果、手術の裾野が広まり、白内障手術をマスターした眼科医が、次に取り組む手術としてポピュラーになってきています。

 

わたしも、北海道大学眼科の網膜硝子体専門医育成のトレーニングプログラムに参加し、網膜硝子体手術を覚えました。

素晴らしい複数の指導医の先生に指導していただきつつ、数年間かけて様々な症例を経験しました。

その後、自身が指導医の立場になりましたが、まだ年齢的にもキャリア的にもベテランというには若く、指導医として信頼されるのは難しいかな、と思っていました。

 

一方で、手術を覚えて間もない、教わる立場だった頃の記憶が残っている者が教える方が良い面もあるのかな、ということと、人に教えることが一番勉強になるな、ということもあり、やりがいを感じていました。

 

わたしは手術を学ぶにあたり、なぜ、そうするのか、ということを言葉で理解できる形にすることを意識していました。

とにかくこうやることになっているから、とか、皆こうしているから、ではなく、論理的に無理や無駄のない方法を追求していました。

その方が、他の先生に説明する場合も内容が伝わりやすく、受け入れてもらいやすいかなと思います。

 

もう一つ心がけていたことは、教えすぎない、ということです。

こうしたほうが良い、などと言われると自分で考える機会を奪ってしまい、判断を人に委ねる癖がついてしまうからです.

 

そうしたやり方が良かったのかどうか、本当のところは分かりません。

ただ、指導として関わった先生が今では大いに活躍されており、お互いに相談しあえる専門家仲間になれているので、まあまあ良かったのかな、と勝手に思っています。

 

この特集では、手術の技術的な指導法に加え、若手指導医ならではの、そのような指導理念のような部分にも少しフォーカスを当てて執筆させて頂きました。

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