Shared Decision Makingってなに?
2024/7/29新しい眼内レンズのスタンダードを学んでいこう、という趣旨の中国四国地方の眼科医を対象にしたセミナーに演者として参加しました。
参加したといってもWebでの開催だったのでいつもの外来診察室でパソコンを相手にPowerPointをたぐりながら、(たぐりながらで合ってるのかな?)独り言のように講演しました。
タイトルは「不適切にも程がある!?SDM時代の白内障手術」
SDM、というのはShared Decision Makingの訳で、患者と医師が診療方針を一緒に決める、という概念です。
Imformed Consentの先にある概念で、最近では、より好ましい、とされることが多い概念です。
タイトルに皆が知らないフレーズを当たり前のように放り込んでいくことで、知らないとまずい言葉なのかな?聞いてみようかな?と思わせるという古典的かつ姑息なタイトル付けを行ってみました。
その効果があったのかどうかは分かりませんが想定よりはかなり多くの先生にご参加頂けたようです。
内容としては、現代の患者さんはYoutubeを始めとした多くの情報媒体で白内障手術や眼内レンズに関して非常に多くの知識を得ている。
それが良い面でもあるし、理解の妨げや思い込みになっている場合もある。
患者さん悩み過ぎて、混沌としてきている場合もある。
こんなことなら昔ながらの腕と思いやりのある医師の一声で、あなたにとって一番いいレンズはこれだから、これ入れます、と一方的に決めたほうが良いこともありえるかもしれない。
とはいえ時代は戻らない。
不適切には程がある、というドラマのように、トイレのポスターを剥がしても過去に繋がる穴など空いていない。
正確でより深い知識を持った眼科医と患者が話し合い、理解を確認し、どのレンズにするか一緒に選んでいく、というSDMを実践していくしかない、そんな時代に私達は生きている、頑張りましょう、ということをメインにした内容でした。
それに加えて、乱視矯正用の眼内レンズの焦点深度の深いレンズの当院での使用法、軸の合わせ方、高度に専門的な網膜の手術である黄斑浮腫に対する硝子体手術での嚢胞切開手術でのそのような新しいレンズでの使用例についても新たな選択肢として提示しました。
リアルで開催される講演会だと、たいていはその後に直接質問を受けたり、ここが良かった、とか、反響があるのですが、Webでの開催だと、良かったのかどうなのか、よくわかりません。
結構多くの質問があったので、良かったのではないかな、とは思いましたが、Zoomの退出ボタンを押した後、何ともいえない虚しさが漂いました。
New Standardを今後も追求していきたいと密かに心を新たにした夜でした。